2009-01-01から1年間の記事一覧

国際関係と戦後史 −冷戦2

2. 55〜70年代半ば −デタント(緊張緩和)時代 スターリン没後のソ連ではフルシチョフがトップに就任し、ジュネーブ巨頭会談(米、ソ、英、仏の4カ国)が開催されることとなる。しかしながら、56年ハンガリー動乱や57年スプートニク・ショック(ソ連の宇宙…

ニーチェ5 流動的な私

第5章 眺望固定病 力への意志は、超人にしか見えないものである。とすれば、我々が力への意志を認識できないのは、なぜか。それは眺望固定病(パースペクティズム)に陥っているからである。 眺望固定病とは、自分自身を尺度として、自分の支配に好都合な価…

ニーチェ4 力への意志と複雑系

第4章 力への意志と複雑系 「力への意志」とは、各々の現象が、その領域を最大化しようした結果、生まれる力関係の勢いをいう。 たとえば、地球自体は太陽の周りを回ろうとしているのではなく、太陽と地球のもつ自然現象としての引力が存在する結果、地球は…

国際関係と戦後史 −冷戦1

戦後史―冷戦(1945〜1991) 戦後はWW2戦勝国であったアメリカとソ連の力関係が、多くの出来事に影響した時代であった。ここではその冷戦を概観する。冷戦は、三期に分けられる。それぞれの時期に戦争の危機と、それを克服しようとした反省が見られるのが特徴…

ニーチェ3 何も望まない者は人を超える

第3章 大いなる正午と超人 大いなる正午とはどのようなヴィジョンだろうか。大いなる正午では、まず太陽が真上にのぼる、つまりすべてのものの影がなくなる。また、すべてのものが光に包まれ、何も見えなくなる(ホワイトアウト)。つまり、物事の差異がなく…

ニーチェ2 永遠の輪から逃れられない

第2章 永遠回帰 ニヒリズムを時間軸に適用してみよう。つまり、善悪や良否といった考えを持たない時間が、ずっと続くのである。これは永遠に何もない状況である。ニーチェの考えによれば、目の前に起こっている一切の変化が実は見せかけであり、実際は同じこ…

ニーチェ1 近代を破壊するニヒリズム

一般に近代思想とは、プラトンにはじまり、ニーチェの直前までの哲学のことを指す。“現代”思想を始めるニーチェのエッセンスを、『ニーチェ すべてを思い切るために、力への意志』(青灯社)から。 ニーチェは近代哲学を破壊したといわれる。また危険な思想…